おばあちゃんとは(入院療養している父方の祖母)、昨年の暮れに会いに行ったきりで、
しばらくご無沙汰となっていました。
その間(に限らずここ数年)のおばあちゃんの様子は――
定期的にお見舞いへ行ってくれている者(私の家族や叔母)、また病院のスタッフによる“近況報告”のメールによって、様態を知り、エネルギーを受けとるなどして把握するといった具合です。
ということで――
先日、久しぶりに、おばあちゃんに会いに行って来ました。
病院の最寄り駅より病院まで、行きはお散歩がてらに(約25分)テクテク……
お日様も出て、気持ちのいい“青空”だけど、風が強かったなぁ~!!
こういう日は、帰りのバス停でのバス待ちが、かなり寒いことが予測されるー(苦笑)
病院までの道のり、3軒のパン屋さんの前を通り過ぎます。
駅近くにある2軒のパン屋さんは、今風の洒落たパン屋さん。
駅から少々離れた場所にある3軒目のパン屋さんは、
古~い昔ながらの“ザ・昭和!!”そのものを感じさせる素朴で懐かしい店内と店構えです。
(アルミのトレイの上に並べられた調理パンと菓子パン類、ガラスケース内に陳列されたコッペパンサンドと三角のサンドイッチ類……)
毎回どの店も、横目でチラッと見ては……
立ち寄って“買おうか、買うまいか……!?”一瞬、悩み――
そのまま通り過ぎて、買わずじまい。(何年もです――苦笑)
結局、その先にあるコンビニに寄って、飲み物やパンを買って――
パクパクしながら、病院へ向かう――というパターンが多い(アハハ)
何年もの間、通い慣れた道のり――
通る度、チラチラと横目で見て気にしているわりに、スルーしっぱなしの3軒のパン屋さん。
この3軒のパン屋さんの内、最も気になっていたのが――
3軒目の“ザ・昭和!!”の古~いパン屋さん!です。
のくせに――(通い始めて6年、昨年暮れにようやく入店)
まず、最初に立ち寄ってみたのは、駅近くの2軒目のパン屋さんでした(笑)
お味は、うーん、まぁ、普通というか……次回の入店は、ないかなぁ~。
で、今回とても気になっていた、3軒目のパン屋さんへ入店!
お店の奥の方から、“給食のおばさん”のような白いユニフォームを着たおばちゃんが、
大きな声で『いらっしゃいまし~』と、こちらを見てニッコリ。
そのまま、こちらへ出てくるのかなぁ~と、思っていたら……出て来ません。
(まずは、ご挨拶!といった具合です。その後、こちらがのんびり自由にパン選びできるような配慮というか……これが、いつものパターンのような様子で、奥から一歩も出て来ません)
アルミのトレイとトングを持って、「どれにしようかなぁ?」と……
懐かしのパン勢揃いに、少々、悩んでしまいました(笑)
で、ようやく3種類のパンをトレイにのせ、お会計をお願いしようとガラスケースの方へ歩み寄ると、
その丁度のタイミングで、奥からニコニコしながらおばちゃんが登場して――
『はーい、お預かりします』と、トレイを持ち、計算を始めました。
そして、ニッコリと微笑み、
『3点で、350円です。ありがとうございます!!』と、パンを袋に入れてくれました。
私は、おばちゃんの何気ない対応(最初の声かけや、レジのタイミング、そのサラ~っとした対応の全て……)と、驚きの合計金額(値札をちゃんと見ないでパンを選んでいたので、想像以上に安くてビックリ!?)に、何だかとても感動してしまいました。
ここで買ったパンは、歩きながら食べず、病院へ着いてから病院のラウンジで座って食べました。
何となく、いつものように、歩きながらパクパクする気には不思議とならなかったのです。
お味は、予想通り、“小さい時から食べ慣れ親しんだパンの味”でした(懐かしい味!)
おばあちゃんに会う前に、懐かしの味を懐へ入れ、一息ついたところで――
そ~れ!っと、おばあちゃんのいる2階の病棟へ向かいました。
病室へ入り――
おばあちゃんのベットサイドに行き、(目を瞑り、眠っていたかどうかは??だけど……)
「おばあちゃーん!」と、声をかけながら、おばあちゃんの身体にやさしくポンポンしました。
おばあちゃん、
すぐさま目を開け、じーっとこちらを見ます。
ちょっと間をあけ――自身の中で確認が終了!すると、
………フッ(にや~)と微笑む。そして、ウンウンと、頷く。
いつものパターンです(笑)
この後、言葉を発することもたまにあるけど――
いやはや、何を言っているのかよくわかる時と、内容が意味不明!?の時と両方です(苦笑)
そのどちらでも、久々の再会!を喜んでいる様子が、こちらにも伝わってくるので、その全てを受けとり
「うん、うん!」と、おばあちゃんに返事をし、ベットサイドに着席します。
そして、お顔のお手入れや、身体に触れながら……の時間が過ぎていくのが、いつものパターンです。
(何かしらケアをされていることが好きなおばあちゃんです)
でも、今回は、いつものパターンと少々違っていました。
私の手を握り離しません――
だから、傍にいる間ずーーっと、手を繋いでいました。
―― あー~、おばあちゃんとは、よく手を繋いで歩いたなぁ……――
おばあちゃんとは、どこへ行くにも、よく手を繋いで歩いていました。
近所に買い物に行く時、近所のクリニックへ行く時、その他――
一緒に外出する時は、必ずと言っていい程、おばあちゃんは私の手をとり、繋ぎながら歩いていました。
(他の人と一緒に歩く時は、腕を組んでいました。私とは何故か手を繋いでいました……)
おばあちゃんの手を握り――
懐かしい場面を 思い出したりしていました……
それと同時に、ウトウトと眠くなってしまいました(笑)
いつもと違うのは、こればかりではありません。
なんと!?
帰り際のおばあちゃんの様子です。
いつもなら、帰る気配に敏感に反応し――
『帰っちゃヤダー!!』などと、目を三角にしてみたり、寂しそうに半泣きになったり……
するのですが――
今回は、
寝息をたてて眠っていたのにも関わらず、目をパッと開け、繋いでいた手をすっと外し、
『帰る?』
『また来てね!』
と、とても穏やかな落ち着いた顔つきで、話かけてくるではありませんか――
これには、とてもビックリしてしまいました。
こんなこと、初めてです――
それでは……ということで、
「うん。またね!」
「また来るよ~!!」
と、帰り支度をして退散しようとしたら……
おばあちゃんが、さらに“ひと言”を発しました。
その無意識に発せられた“ひと言”にハッとしました――
おもわず、おばあちゃんを抱きしめました。
「また来るね~」と、病室を後にしました。
また近々に、会いに行こう!――
と、そうおもいました。
病院を後にし、バス停でバスを待ちます。
昼間の予想通り、風は強く冷たくて――寒いくらいです。
おばあちゃんの入院療養は、今年の春で7年目に入ります。
自宅での療養が難しくなり、入院することになったおばあちゃん――
今から、ちょうど6年前、季節も今頃……春のことでした。
入院当初、お医者から告げられたものは、
『このような様態ですと……平均〇〇~〇〇日間でお亡くなりになる方がほとんどです――』
みたいな(過去のこと過ぎて思い出せませんが)余命宣告のようなコメントでした。
当時、確かにかなり弱っていたように見えた おばあちゃん……
あの時は――
そのようになるのかなぁ……
(お医者のコメントのような流れになるのかなぁ……?)
と、おもっていました。
ところが――
カリカリのお痩せさんとなってからの おばあちゃん
あれから今日まで……
決してよろしい状態ではないけれど――
“生きております”
病症のデータ化から出された生命力(余命というもの)は、万人にあてはまるものではないと――
つくづく感じたものです。
それとは別に――
最期が近づいた人達に見受けられる 無意識から発せられる“言動”や“仕草”には、
それなりに何か“意味”があるのかなぁと――
一目おいてみたり、そろそろお迎えがくるのかなぁ……とおもってみたりします。
安心の中で、寄り添い・サポートできるよう 準備してお待ちしております。